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Language

展示名
MONOCHROME COLORS by Hiro Sugiyama

アーティスト
ヒロ杉山

期間
2023年6月3日から7月8日

Reception
2023年6月3日 午後4時から7時

コンセプト

具象と抽象の境界線はどこにあるのか?
この事は私が絵画を製作する上で、テーマにしてきた一つである。具象の作品が、その絵の持つ特徴、色や形や構図などを排除して抽象度をあげていった時に、人の脳はどの段階で、それを抽象画と判断するのか?シュミクラン現象のように絵の中に描かれた3つの点が、逆三角形に配置されただけで脳はそれを人の顔と認識してしまう。抽象と具象の認識はとても曖昧である。

このブラックペインティングのシリーズは、既存の絵画作品に描かれたモチーフをシルエット化し、単純していき抽象度を上げる。更にその絵の色彩を全て排除し黒一色で描くことにより、もう一段階、抽象度を上げるという実験をしている。ピカソやゴッホの絵画ように、記憶の片隅にその絵画が存在するものは、2段階抽象度をあげたとしても、脳内で抽象度が上がった作品を、元の絵に近づけようと脳はフル回転し、そこにあったはずの色彩を想像し始めるのである。しかし元になる作品を知らない場合は、その絵の抽象度は上がって行くだけである。

1990年代の終わりに、私はシルエットで描かれた作品を発表した。モチーフの輪郭線を取り、その内側を黒の絵の具でフラットなベタ面に塗りつぶした。黒で塗りつぶして行くことにより内側に描かれた情報は消滅する。この時はまだ、具象から抽象へと突き進めることだけに興味が行っているだけだった。2020年より製作し始めた今回のブラックペインティングのシリーズは、一度、抽象度の進んだ絵画を、もう一度具象に引き戻すという行為を行なった。それは黒く塗られた部分に、また元の色彩を塗り直すのではなく、筆のタッチ、絵の具の盛り上がりにより画面に極端な凹凸を付けることで、そこに描かれていた元の絵を再現した。黒い絵の具で作られた凹凸は、画面に光と影による表情を与えたのである。鑑賞者は、その光と影の表情に反応し、見えない色彩を感じ始めたのである。そして抽象度は具象へと引き戻されたのである。

このように私は、具象と抽象の間を、行き来しながら絵画の制作を楽しんでいる。

ヒロ杉山

ヒロ杉山

80年代、90年とアナログでの絵画制作を行ってきたヒロ杉山は、 1997年アーティストユニット「エンライトメント」結成を機にデジタル作品の制作も開始する。2000年に開催した個展「2-Delight」ではデジタルペインティングと称した作品を発表し世界的な注目を集める。 中でもデジタルで描いたポートレイト作品が、話題となり、 ブラッド・ピット、トム・ヨーク(レデイオヘット)、カール・ラガーフェルドなどの ポートレイト作品を制作。2001年村上隆が企画、キュレーションした「スーパーフラット」展(LA,MOCA)に参加。F1レーサーのアイルトン・セナ、カレン・カーペンターの巨大なポートレイト作品を発表。展覧会と同時に出版された作品集「2-Deriht」が、NYのジェフリー・ダイチの目に止まりダイチプロジェクトNYでの個展が決まるが、その後、911が起こり個展は中止となる。 その後、ロンドン、ブロンクス、上海などのミュージアムでの展覧会等に数多く参加。 2010年代に入り、ヒロ杉山は、アナログのペインティングの制作に再び精力的に取り組むようになる。2020年には、作品1600点を収録した作品[Drawing leads to another dimension]を出版。2021年に発表した有名絵画の色彩を排除しモチーフをッシルエット化して描く「ブラックペイントシリーズ」が、話題となり2022年「LurfMuseum」で大きな個展[Monochrome Colors]を開催した。

展示風景

カタログ

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